Nature ハイライト

Cover Story:転移温度の上昇:ついに実現された室温超伝導

Nature 586, 7829

ロチェスター大学(米国ニューヨーク州)の超伝導研究室。
ロチェスター大学(米国ニューヨーク州)の超伝導研究室。 | 拡大する

Credit: Adam Fenster

超伝導体は、臨界温度以下においてゼロ抵抗で電流が流れる材料で、20世紀初頭から知られている。しかし、超伝導は長年、絶対零度に近い温度に限定されると考えられてきた。この考えは、1980年代に高温超伝導体が発見されたことで覆されたが、高温とはいえ、その温度は−140°C程度と低いものだった。以来、より高い温度で超伝導体になる材料の探求が盛んに行われてきた。今回R Diasたちは、ついに念願の目標だった室温で超伝導体になる材料を実現している。約15°Cで超伝導を示す、光化学的に変換した炭素質硫化水素系を作り出したのである。現時点では、この現象にはまだ、少なくとも270 GPaという高い圧力が必要だが、著者たちは、この系の化学的調整によって、より低い圧力で超伝導性を実現できると考えている。

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