Nature ハイライト

Cover Story:コウモリ類クレードの秘密:6種の参照ゲノムから明らかになったコウモリの特異な能力の起源

Nature 583, 7817

オオホオヒゲコウモリ(<i>Myotis myotis</i>)。
オオホオヒゲコウモリ(Myotis myotis)。 | 拡大する

Credit: Olivier Farcy

コウモリは、反響定位、極めて長寿、独自の免疫系など、いくつかの並外れた適応を進化させてきた。今回E TeelingとS Vernesたちは、Bat1Kコンソーシアムによって塩基配列が解読されたコウモリ6種の参照品質のゲノムを報告している。これらの塩基配列を総合すると、コウモリの適応の進化的起源と分子基盤に関する知見を得るのに役立つ。著者たちは、哺乳類におけるコウモリの系統発生学的位置を特定し、コウモリの祖先系統において聴覚に関与する遺伝子が選択されたことを示すとともに、コウモリの非常に優れた免疫系に寄与している可能性がある分子機構の証拠を提示している。さらにこれらのゲノムは、コロナウイルスの感染にコウモリが耐性を示す仕組みの研究にも役立つはずである。将来的にはこうした研究によって、COVID-19などの疾病に対するヒトの生存率を高める方法が得られるかもしれない。

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