Nature ハイライト

材料科学:効率がほぼ100%の光触媒的水分解

Nature 581, 7809

太陽光を用いる水の分解は、再生可能な水素の製造に魅力的であるが、効率的に行うことが難しい。今回、堂免一成(信州大学ほか)たちは、光によって生じた電荷を効率よく移動させた後、こうした電荷を用いて水を水素と酸素に分解できるよう光触媒を設計できることを示している。重要なのは、光触媒の別個の表面上で水素発生反応と酸素発生反応を分けて進めることと高活性触媒種を使用することである。この手法によって、電荷再結合に起因する損失が抑制され、ほぼ100%の量子効率での水分解が実現された。報告された光触媒は紫外光を用いているが、今回の設計原理は、より豊富な可視光を使用できる材料にも適用可能なはずであり、太陽光と水から水素を製造する実用的なプロセスの基礎となる可能性がある。

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