気候科学:アマゾンの炭素放出の増加の主な原因は法執行の減少である
Nature 621, 7978 doi: 10.1038/s41586-023-06390-0
アマゾンの森林炭素シンクは減少しており、その主な原因は土地利用と気候変動である。今回我々は、大気中CO2の鉛直分布、森林伐採と火災のデータ、違法な森林伐採に関連した違反行為の通知に基づいて、2010~2018年と比較して、環境保護政策の法執行の変化が2019年と2020年のアマゾンの炭素収支にどのような影響を及ぼした可能性があるかを調べた。その結果、アマゾン川流域の炭素放出が、2010~2018年の平均0.24 ± 0.08 PgC year−1から、2019年には0.44 ± 0.10 PgC year−1へ、2020年には0.52 ± 0.10 PgC year−1へと増加したという見積もりが得られた(±は不確かさ)。2010~2018年の平均と比べて、2019年と2020年に観測された森林伐採はそれぞれ82%と77%増加しており(確度94%)、焼失面積はそれぞれ14%と42%増加していた。我々は、植物相に対する違反行為の通知数は、2019年に30%、2020年に54%減少し、支払われた罰金はそれぞれ74%、89%減少したことを見いだした。2019~2020年の炭素損失は、極端な干ばつ事象がなかった記録的な暑さのエルニーニョ(2015~2016年)の炭素損失に匹敵していた。統計的検定によって、2010~2018年の平均と2019~2020年の間に観測された差は、偶然によって生じた可能性が低いことが示された。2019~2020年のアマゾン川流域の炭素収支の変化は、アマゾン西部が炭素の放出源となったことが主な原因であった。今回の結果は、法執行の減少が、森林伐採、バイオマス燃焼、森林劣化の増加につながり、アマゾン森林の炭素放出を増やすとともに乾燥と温暖化を増強したことを示している。

