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構造生物学:TMC-1複合体の構造から明らかになったメカノトランスダクション
Nature 610, 7933 doi: 10.1038/s41586-022-05314-8
哺乳類の聴覚や平衡感覚を支える感覚伝達経路の最初の段階には、力を変換してメカノトランスダクションチャネルのゲート開閉を行うことが含まれている。聴覚障害がもたらす深刻な社会経済的影響やメカノトランスダクションを理解することの基本的な生物学的重要性にもかかわらず、メカノトランスダクション複合体の構成や構造、機構は依然としてほとんど解明されていない。今回我々は、線虫の一種であるCaenorhabditis elegansから単離した天然状態のTMC-1(transmembrane channel-like protein 1)メカノトランスダクション複合体の単粒子クライオ電子顕微鏡構造を報告する。この2回対称複合体は、ポアを形成するTMC-1サブユニット、カルシウム結合タンパク質CALM-1および膜貫通内耳タンパク質TMIEのそれぞれが2コピーずつ集まって構成されている。CALM-1はTMC-1サブユニットの細胞質側表面と広く接触している一方で、単回膜貫通タンパク質であるTMIEサブユニットは複合体の辺縁に存在していて、アコーディオンの取っ手のような形でそこに付着している。複合体の一部は、この他にアレスチン様タンパク質であるアレスチンドメインタンパク質ARRD-6を1つ含んでいて、これはCALM-1サブユニットに結合している。単粒子再構築と分子動力学シミュレーションによって、メカノトランスダクション複合体が膜の二重層を変形させる仕組みが明らかになり、機械的な力がイオンチャネルのゲート開閉に変換される機構における脂質–タンパク質相互作用の重要な役割が示唆された。

