Perspective
気候変動の影響:気候変動の隠れたリスク
Nature 610, 7933 doi: 10.1038/s41586-022-05243-6
気候変動のリスクは極めて大きく、数百万人から数十億人の人々の生命と生活を脅かしている。しかし、気候変動に伴う複雑なリスクの多くがもたらす経済的影響は、今のところ定量化することができない。今回我々は、このような、定量化されていない上にあまり理解されておらず、不確かさが大きいことの多いリスクを、経済評価や意思決定過程に含めることができ、また、含めるべきであると主張する。我々は、こうした定量化されていないリスクの概要と、ロバストなリスク評価の欠如の背後にある原因に基づくリスクオントロジーを提示する。これらには、分野横断的な知識や見解の共有の遅れによって見逃されたリスク、気候の影響の空間的・時間的変動、リスク間のフィードバックと相互作用、我々の知識の大きな不確かさ、今のところ特定されていないリスクが含まれる。我々は、こうしたギャップに対処するには、自然科学と社会科学のコミュニティー内およびコミュニティー間における共同研究が必要であると強調する。また、これらのリスクの評価や推測を、相互依存性を考慮し、二重計算を避け、仮定を明確にできるように統合する方法も提示する。こうした隠れたリスクに取り組むための経路は複数存在し、モデルに基づく定量的評価と、モデルに基づかない定性的評価の両方が重要な役割を果たす。気候のさまざまな影響が、研究不十分または定量化困難であり、生命や生活に対する気候リスクの現在の評価から抜け落ちている。政策立案者や公衆に気候リスクに関する情報を適切に提供するには、強力な学際的共同研究と不確かさへのより深い取り組みが必要である。

