Review

免疫学:病気と健康における炎症の記憶と組織適応

Nature 607, 7918 doi: 10.1038/s41586-022-04919-3

我々の体は、過去に遭遇したアレルゲン、病原体、創傷、刺激物を記憶していて、次に経験した場合に、より迅速に反応するという優れた能力を持っている。この感受性の増強は新たな脅威に対処するのにも役立つ。記憶は、その後に遭遇する病原体に備えて、抵抗性を拡大した状態を維持しているにもかかわらず、適応不良になることもあり、その結果、慢性炎症性疾患やがんが引き起こされる。現代の世界では、新しい病原体、アレルゲン、汚染物質の出現が増え続けており、こうした記憶や適応に関する現象の分子的基盤の解明が急務となっている。本論文では、非特異的記憶が核内に存在し、エピジェネティックなレベルで伝播することが明らかになった2007年以降、炎症の記憶の分野がどのように発展してきたかを振り返る。記憶は免疫系だけの特権ではなく、皮膚、肺、腸、膵臓の上皮、そしてニューロンにも及ぶことが最近相次いで発見されており、これらについても概説する。まだ解明の途中ではあるが、炎症のエピジェネティックな記憶は、現在、アルツハイマー病などの脳障害や、がんのリスク上昇に関連する可能性が示されている。さらに我々は、これらのエピジェネティックな記憶がもたらす、有益および有害な結果と、それらのヒトの健康や疾患における意味について考察する。

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