Article
生化学:天然物生合成の構成単位となるβ-NAD
Nature 600, 7890 doi: 10.1038/s41586-021-04214-7
β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(β-NAD)は、あらゆる生物にとって極めて重要な代謝物であり、代謝の異化側において拡散性の電子受容体、また電子伝達体として機能する。さらに、β-NADはさまざまなエピジェネティック過程、免疫過程、ストレス応答関連過程にも関係していて、タンパク質やDNAの修飾や細胞のシグナル伝達分子の合成の際にADPリボシル基の供与体として使用されることが知られている。今回我々は、β-NADが二次代謝産物の生合成経路でも、酵素反応の基質として用いられていることを明らかにする。この経路では、ニコチンアミドジヌクレオチド骨格が高度に修飾され、全く新しいタイプの天然物を合成する構成単位として使われる。発見されたこの経路の初発反応を触媒する酵素(SbzP)は、β-NADとS-アデノシルメチオニンとの間で起こるピリドキサールリン酸依存性[3+2]環化反応を触媒し、6-アザテトラヒドロインダン骨格を形成する。β-NADを基質として利用するこの新しい酵素ファミリーのメンバーは、細菌界に広く分布し、さまざまな生合成遺伝子クラスターにコードされている。今回の結果によって、β-NADに由来する天然物の発見や活用に道が開けるだろう。

