分子生物学:G1期での相同組換え活性化がセントロメアの完全性を維持する
Nature 600, 7890 doi: 10.1038/s41586-021-04200-z
セントロメアの完全性は、細胞分裂の際に染色体が適切に分離するために重要である。セントロメアは独特なクロマチンの特徴を持っていて、それはセントロメアの維持に不可欠である。セントロメアは本質的に脆弱で、染色体再編成を起こしやすいホットスポットであるが、DNA損傷が起こったときにセントロメアの完全性がどのように維持されるのかはほとんど解明されていない。相同組換えによるDNAの修復には姉妹染色分体の存在が必要であり、これは細胞周期のG1期には抑制されている。今回我々は、G1期にセントロメアに生じたDNA切断が、姉妹染色分体が存在しないにもかかわらず、相同組換え装置を引き寄せて働かせることを明らかにする。その作用機序は、セントロメア特異的なヒストンH3バリアントであるCENP-AとそのシャペロンHJURPが、ヒストン3のリシン4のジメチル化(H3K4me2)と共に働いて、G1期の相同組換えのライセンス化につながる一連の事象を可能にすることであると分かった。H3K4me2は、DNA損傷が誘発するセントロメアの転写を可能にし、DNA–RNAハイブリッドの形成を増加させることによって、DNA末端の切除を促進する。CENP-AとHJURPは、脱ユビキチン化酵素USP11と相互作用して、RAD51–BRCA1–BRCA2複合体の形成を可能にし、G1期にセントロメアだけに限ってRAD51を引き寄せて相同組換えが行えるようにする。さらに、G1期の相同組換えを阻害すると、セントロメアが不安定になり染色体転座につながることも分かった。これらの知見は、セントロメアの切断部位での相同組換えが細胞周期の間ずっとライセンス化されることにより、変異を誘発するDNA修復経路の活性化が防止され、セントロメアの完全性が維持されるというモデルを裏付けている。

