Article

エネルギー科学:高エントロピーポリマーが生み出す低電場における巨大電気熱量効果

Nature 600, 7890 doi: 10.1038/s41586-021-04189-5

10年を超える電気熱量(EC)効果の研究の結果、熱量ヒートポンプに必要な5 Kという最低EC温度変化を満足させるEC材料やEC多層チップが実現されてきた。しかし、こうしたEC温度変化は、絶縁破壊強度に近い高電場の印加を通して生じるため、EC性能の急速な劣化や疲労が起こる。今回我々は、50 MV m−1の下で37.5 J kg−1 K−1のECエントロピー変化と7.5 Kの温度変化を示すECポリマー類について報告する。このECエントロピー変化の値は、同じ電場強度下で最先端のECポリマーが示す値と比較して275%大きい。我々は、ポリ(ビニリデンフルオリド-トリフルオロエチレン-クロロフルオロエチレン)ターポリマー中の少数のクロロフルオロエチレン基を二重共有結合に変換すると、極性構成要素の数が著しく増加し、ポリマーの極性–非極性界面積が増大することを示す。このポリマー中の極性相は、ゆるく相関した高エントロピー状態をとり、電場誘起スイッチングのエネルギー障壁が低い。このポリマーは、実用的なEC冷却用途に必要な低電場において100万サイクル以上にわたって性能を維持するため、今回の戦略から熱量ヒートポンプに適した材料が得られる可能性が示唆される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度