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昆虫行動学:4-ビニルアニソールはトノサマバッタの集合フェロモンである
Nature 584, 7822 doi: 10.1038/s41586-020-2610-4
ワタリバッタ類の大発生が世界各地で農業および環境の安全を脅かしている。ワタリバッタの孤独相から破壊的な群生相への相変異、および大群の形成では、集合フェロモンが極めて重要な役割を担っている。しかし、既報の候補化合物で、ワタリバッタの集合フェロモンの基準を全て満たすものは存在しない。今回我々は、行動アッセイ、電気生理学的記録、嗅覚受容体の特性評価、野外実験を用いて、4-ビニルアニソール(4VA;別名4-メトキシスチレン)がトノサマバッタ(Locusta migratoria)の集合フェロモンであることを明らかにする。群生相と孤独相の個体はいずれも、齢や性に関係なく4VAに強く誘引された。4VAは群生相の個体から特異的に放出されるが、その産生は孤独相の個体でも4~5匹集まると誘発されることが分かった。4VAは、トノサマバッタの触角の錐状感覚子の応答を特異的に誘発した。また、4VAの特異的な嗅覚受容体としてOR35が特定された。CRISPR–Cas9を用いてOR35をノックアウトすると、触角の電気生理学的応答が顕著に低下し、4VAの行動誘引性が損なわれた。さらに、野外での捕獲実験により、4VAの実験個体群および野生個体群に対する誘引性が確認された。これらの知見は、トノサマバッタの集合フェロモンを特定したものであり、ワタリバッタ類の新たな防除戦略を編み出すための洞察をもたらす。

