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エピジェネティクス:ヒストンH3.3リン酸化は刺激により誘発される転写を増幅する
Nature 583, 7818 doi: 10.1038/s41586-020-2533-0
複雑な生物は、環境からの多様な合図に応じて、選ばれた遺伝子を迅速に誘発する能力を持つ。このような調節は、大型のゲノムがヒストンタンパク質によって凝集してクロマチンとなる、という状況において起こる。マクロファージが病原体を感知すると、保存されたシグナル伝達経路と転写因子が動員され、炎症性遺伝子の誘導が調整される。祖先ヒストンH3のバリアントであるH3.3が多く組み込まれているのは、動的に調節されているクロマチンと転写の一般的な特徴である。しかし、誘導された遺伝子の所でクロマチンがどのように調節されているのか、そしてH3.3のどのような特性が迅速で高レベルの転写を可能にするのかは、まだ解明されていない。H3.3のアミノ末端には、「カノニカル」なH3.1やH3.2には存在しない、特有のセリン残基(Ser31)が含まれている。今回我々は、マウスのマクロファージの迅速に誘導される遺伝子では、この残基H3.3S31が刺激に依存してリン酸化されている(H3.3S31ph)ことを明らかにする。刺激応答性遺伝子のこの選択標識が、活性な転写装置の構成要素の1つであるヒストンメチルトランスフェラーゼSETD2を直接動員し、伸長のコリプレッサーであるZMYND11を「排出」させる。このように、刺激で誘発される遺伝子にあるH3.3が持つH3.3S31phなどの特徴は、転写装置へ優先的に接近させるためのものだと我々は考える。これらの知見は、ヒストンバリアントH3.3、そのリン酸化、それにクロマチン調節因子の動員と排出の両方が関わり、迅速な転写を可能にする特化した機構の存在を示している。

