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気候科学:モデルが示唆するよりもはるかに予測可能な北大西洋の気候

Nature 583, 7818 doi: 10.1038/s41586-020-2525-0

気候モデルのシグナルとその不確かさの定量化は、気候変化の検出、要因分析、予測、見通しに不可欠である。大規模な気温のシグナルに対するモデル間の一致度は高いが、大気循環の力学的変化は非常に不確かである。これは、今後数十年間の地域的な見通し、特に降水量に関する見通しの信頼性を低下させる。気候システムのカオス的性質は、シグナルの不確かさの低減が容易でないことを意味する可能性もある。しかし、気候の見通しの検証は、より長期間の観測データが利用できるようになるまで困難である。今回我々は、過去60年間に対する気候モデルによる事後予測を評価し、北大西洋冬季の気候の10年規模変動は、個々のモデルシミュレーション間の一致度が低く生のモデル出力の予測能力が不十分であるにもかかわらず、相当程度に予測可能であることを示す。重要なのは、現在のモデルが、北大西洋振動(北大西洋の大気循環の変動の主要なモード)の予測可能なシグナル(全変動のうち予測可能な割合)の大きさを、1桁程度過小評価していることである。従って、完璧なモデルと比べると、現在のモデルではこのシグナルを抽出するのに100倍の数のアンサンブルメンバーが必要であり、他の要因と比べてこのシグナルの気候への影響が過小評価されている。我々は、このような制約に対処するために、2段階の後処理技術を実装した。まず、北大西洋振動に対する予測結果のアンサンブル平均の分散を、予測可能なシグナルの観測された分散と一致するように調整し、次に、分散を調整したアンサンブル平均予測に十分に近い北大西洋振動成分を持つアンサンブルメンバーのみを選択して使用した。この方法によって、ヨーロッパと北米東部の冬季の気候の10年規模予測が大幅に改善された。また、大西洋の数十年規模変動の予測も改善され、これは北大西洋振動が大西洋数十年規模変動のみによって駆動されているわけではないことを示唆している。今回の結果は、現在の気候モデルでシグナル/ノイズ比が小さ過ぎるのはなぜか、そしてこのモデル誤差をどの程度修正すれば10年を超える時間スケールでの地域的な気候変化の見通しの不確かさが減少するのかを理解する必要があることを浮き彫りにしている。

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