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神経回路:2つの動的に異なる回路が感覚視床内での抑制を駆動する

Nature 583, 7818 doi: 10.1038/s41586-020-2512-5

新皮質に向かう感覚情報の大部分は視床で中継されるが、そこで相当な変換が起こる。変換の1つの方法には、皮質へデータを送る興奮性の視床皮質ニューロンと、そうしたデータの流れを調節する視床網様核(TRN)の抑制性ニューロンとの間の相互作用が関係している。TRNの重要性は以前から認められていたが、その細胞タイプや構成、機能的性質は、制御対象である視床皮質系に比べて解明が遅れている。今回我々は、マウスTRNの体性感覚系回路と視覚系回路について調べることで、この問題に取り組んだ。その結果、体性感覚系TRNには遺伝的に異なる2つのニューロン集団が存在し、それらは地形的に離れ、生理的性質が異なっており、動的に分岐したシナプス結合を介して独立した別個の視床皮質核群と相互に結合していることが分かった。カルビンディン発現細胞(中央コア部に位置する)は、体性感覚の視床皮質間一次中継を行う後腹側核と結合していた。対照的に、ソマトスタチン発現細胞(TRN周縁部に沿って存在する)は、トップダウン情報とボトムアップ情報の両者を運ぶ高次の構造である後内側視床核とシナプス結合していた。これら2つのTRN細胞群は、それぞれの入力を経路特異的な方法で処理する。後腹側核からTRN中央部の細胞へのシナプスは速い興奮性電流を伝達し、これは繰り返し活動の間は強く抑制されていて、一過性のスパイク出力を駆動する。一方、後内側視床核からTRN周縁細胞へのシナプスはよりゆっくりとした抑制の少ない興奮性電流を誘起し、より持続的なスパイク発火を駆動する。状態依存的な発火などの、TRN細胞タイプの固有の生理機能の差異が、これらの出力動態に寄与していた。従って、これらの2つの体性感覚系TRNサブ回路による処理の特異化は、それぞれが担う信号に適合したものと思われる。つまり、一次性の中央サブ回路は個別の感覚事象に適合し、高次性の周縁部サブ回路は複数のソースから集められた時間的に分散した信号に適合している。視覚系のTRNサブ回路の構造と機能も、体性感覚系TRNのものとよく似ていた。今回の結果は、TRNニューロンのサブネットワークが、種類の異なる視床情報を差別的に処理する仕組みについての手掛かりとなる。

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