Article
神経回路:視床網様核の異なる2つのサブネットワーク
Nature 583, 7818 doi: 10.1038/s41586-020-2504-5
視床網様核(TRN)は、視床での抑制の主たる源で、感覚情報処理、注意、認識に重要な視床皮質相互作用を調節している。TRNの機能不全は、複数の神経発達障害を通じて見られる感覚異常や注意欠陥、睡眠障害と結び付けられてきた。しかし、この多様な機能の基盤にある神経構築原理についてはほとんど分かっていない。今回我々は、マウスTRNの単一細胞レベルの分子的特性および電気生理学的特性を、回路結合性および系レベルの機能と結び付ける統合的研究を行った。その結果、TRN内には、2つの負に相関する遺伝子発現プロファイル(それぞれが数百個の遺伝子を含む)のトランスクリプトーム勾配を特徴とする細胞の不均一性があることが分かった。このトランスクリプトーム勾配の両極にあるニューロン群は、相互に排他的なマーカーを発現しており、コアまたは殻様の解剖学的構造を示し、異なる電気生理学的性質を備えていた。これら2つのTRNサブ集団は、機能的に異なる一次性および高次性の視床核と特異的に結合を作って、分子的に定義される2つのTRN–視床サブネットワークを形成している。in vivoで、これら2つのサブネットワークを選択的に擾乱したところ、睡眠調節における異なる役割が明らかになった。まとめると今回の研究は、TRNニューロンの単一細胞分解能での包括的アトラスを提供するとともに、分子的に定義されるサブネットワークと視床皮質回路の機能的構成とを結び付けるものである。

