ゲノミクス:1つのヒト細胞タイプにおける208のクロマチン結合タンパク質についての占有マップ
Nature 583, 7818 doi: 10.1038/s41586-020-2023-4
転写因子は、遺伝子調節において重要な役割を担うDNA結合タンパク質である。転写調節因子のゲノム規模の占有マップは、遺伝子調節とそれが多様な生物学的過程に及ぼす影響を理解する上で重要である。しかし、ヒトゲノムにコードされている1600以上の転写因子のうち解析されているのはごく一部にすぎない。今回我々は、ENCODE(DNAエレメントの百科事典)計画の一環として、208のクロマチン関連タンパク質(CAP)について、ヒトHepG2細胞株を用いたChIP–seq(chromatin immunoprecipitation followed by high-throughput sequencing)実験のデータと解析結果を提示する。これらのCAPは、171の転写因子と、37の転写コファクターやクロマチン調節タンパク質で構成され、HepG2細胞で発現するCAPのほぼ4分の1を占める。これらのCAPの結合プロファイルは、主にプロモーターあるいはエンハンサー、またはその両方に関連する主要なグループを形成している。我々は、転写因子のDNA塩基配列モチーフの現在のカタログの確認と拡張を行い、ChIPの一次標的と共に豊富に存在する他の転写因子に対応するモチーフを記載した。例えば、FOXファミリーのモチーフは、他の37のCAPのChIP–seqピークに豊富に見られた。また、モチーフの内容や占有パターンによって、プロモーターとエンハンサーを区別できることが分かった。このカタログから、多くのCAPが結合する占有率の高い標的領域が明らかになったが、それぞれの標的領域には、そこに結合する多数の転写因子のごく一部のモチーフしか含まれていなかった。これらの解析結果は、この細胞タイプを定義する遺伝子調節ネットワークのより完全な概要をもたらし、また、ENCODE計画コンソーシアムの大規模な研究努力の有用性を実証している。

