Article
大気科学:モントリオール議定書に起因する南半球の大気循環の変化傾向の休止
Nature 579, 7800 doi: 10.1038/s41586-020-2120-4
複数の観測から、20世紀の終盤、南半球の対流圏大気循環に、中緯度ジェットの極方向への移動、南半球環状モードの正の変化傾向、ハドレーセルの拡大などといった、地表付近のロバストな変化傾向があったことが示されている。こうした変化傾向は、オゾン層破壊物質の排出に起因する南極成層圏におけるオゾン層破壊によって生じたことが立証されている。本論文では、こうした広く報告されている大気循環の変化傾向が、2000年頃に休止あるいはわずかに逆転したことを示す。我々は、パターンに基づく大気の帯状風の検出と要因分析を用いて、大気循環の変化傾向の休止は、人間活動によって影響を受けたものであり、気候システムの内部変動や自然変動のみによって生じたものではないことを明らかにする。さらに我々は、モントリオール議定書に起因する成層圏オゾンの回復が、この休止の重要な駆動要因であることを実証する。2000年以前の大気循環の変化傾向は、降水量に影響を及ぼし、海洋循環と塩分濃度にも影響を及ぼした可能性があるので、こうした変化傾向の休止は地球システムにより広い影響を及ぼすと予想される。従って、モントリオール議定書とそれに伴う成層圏オゾンの回復の影響の兆候は、地球システムの他の側面に現れるか、すでに現れている可能性がある。

