Article
ナノスケールデバイス:ナノプラズマによって可能になった超高速エレクトロニクス用のピコ秒スイッチ
Nature 579, 7800 doi: 10.1038/s41586-020-2118-y
量子測定、撮像技術やセンシング技術、先進的生物学的処理、超高速データ通信における、超広帯域信号とテラヘルツ波の幅広い応用によって、超高速エレクトロニクスが大きな注目を集めている。そうした応用では、特に高振幅の出力信号が必要な場合、電子スイッチの高速動作が課題になっている。例えば、電界効果デバイスやバイポーラー接合デバイスは、優れた制御性とロバストな性能を持つが、オン状態電流に対して出力容量が比較的大きいため、そうしたデバイスのスイッチング速度はかなり制限されている。今回我々は、広範な電力レベルにおいて電気信号のピコ秒スイッチングを可能にする、ナノスケールのプラズマ(ナノプラズマ)に基づく新たなオンチップ全電子デバイスを実証する。小体積のナノプラズマ内の非常に高い電場によって超高速の電子移動が生じ、このため時間応答が極めて短くなる。我々は、電界効果トランジスターより約2桁速く、従来型の電子スイッチより10倍以上速い、10 V ps−1以上という超高速スイッチング速度を実現した。測定された立ち上がり時間は、5 psと極めて短いが、これは、使用した測定装置による制限を受けた値である。このデバイスとダイポールアンテナを集積することで、電力–周波数トレードオフが600 mW THz2の高出力テラヘルツ信号が放射された。この信号は、最新の小型固体エレクトロニクスによって実現されるものよりずっと大きい。今回のナノプラズマスイッチは集積が容易で小型であるため、撮像、センシング、通信、生物医学への応用など複数の分野で実装できる可能性がある。

