代謝:食餌中のフルクトースは微生物相由来の酢酸を介して肝臓の脂質生合成を促進する
Nature 579, 7800 doi: 10.1038/s41586-020-2101-7
飲料や加工食品中のスクロースや異性化糖の使用により、フルクトースの摂取はここ数十年で顕著に増加しており、これが肥満症や非アルコール性脂肪肝疾患の比率の上昇に関与している。フルクトースの摂取により、肝臓でde novoの脂質生合成が開始し、アセチルCoAの炭素前駆体が脂肪酸に変換される。ATPクエン酸リアーゼ(ACLY)酵素は、細胞質ゾルのクエン酸を切断してアセチルCoAを生成し、炭水化物の摂取後にその発現が上昇する。現在、臨床試験では、代謝性疾患の治療としてACLY阻害が実施されている。しかし、食餌中のフルクトースから肝臓のアセチルCoAや脂質へ至る経路は分かっていない。今回我々は、in vivoでの同位体追跡を用いて、マウスにおいて肝臓特異的にAclyを欠失させても、フルクトースが誘導する脂質生合成を抑制できないことを示す。食餌中のフルクトースは腸の微生物相によって酢酸に変換され、これがACLY非依存的に脂質生合成性アセチルCoAを供給する。微生物相を除去したり、酢酸からアセチルCoAを生成する肝臓ACSS2をサイレンシングしたりすると、ボーラス投与したフルクトースの肝臓におけるアセチルCoAや脂肪酸への変換が強力に抑制された。フルクトースがよりゆっくりと消化されて、小腸での吸収が促進されると、肝細胞でのクエン酸の切断と微生物由来の酢酸の両方が脂質生合成に関与した。対照的に、脂質生合成転写プログラムは、アセチルCoA代謝とは独立に、フルクトースに応答して活性化された。これらのデータから、肝臓での脂質生合成を調節する二股の機構が明らかにされた。一方では肝細胞内のフルクトース分解が脂質生合成遺伝子の発現を促進するシグナルになり、もう一方では微生物による酢酸の生成によってアセチルCoAが脂質生合成プールに供給される。

