構造生物学:ヘリオロドプシンの結晶構造
Nature 574, 7776 doi: 10.1038/s41586-019-1604-6
ヘリオロドプシン(HeR)は、機能的メタゲノム解析を用いて最近発見されたロドプシンファミリーの1つで、細菌やアーキア、藻類、藻類ウイルスに広く存在している。HeRは、タイプ1(微生物由来)ロドプシンと同じく、膜を貫通していると予測される7本のヘリックスとオールトランス型レチナール発色団を持つが、タイプ1やタイプ2(動物由来)ロドプシンとのアミノ酸配列の同一性は15%以下である。HeRの膜内での配置も、他のロドプシンと比べると方向性が逆になっている。構造情報が欠落していることから、HeRの全体構造や光活性化機構はよく分かっていなかった。今回我々は、テルモプラズマ目(Thermoplasmatales)のアーキアで非培養のSG8-52-1(GenBank配列IDはLSSD01000000)由来のHeRの2.4 Å分解能での構造を示す。構造学的および生物物理学的解析から、HeRとタイプ1微生物ロドプシンとの類似性と相違が明らかになった。HeRの全体構造はバクテリオロドプシンのそれと類似している。HeRの直線的な疎水性ポケットは、タイプ1ロドプシンと同じくレチナールの形状と異性化に合った形だが、ポケットを構成するアミノ酸残基の大半はタイプ1ロドプシンとは異なっている。HeRの細胞外側半分は疎水性残基で満たされていて、プロトンやイオンの透過が防がれている。今回の構造では、予想外の横穴がレチナール発色団のβ-イオノン環の上方に見つかり、これは環境中の供給源からレチナールを捕捉するのに重要な役割を持つ。我々の研究により、HeRの機能、また微生物ロドプシンの間で見られる構造的類似性と相違に関する理解が深まる。

