気候科学:地球温暖化の下での太平洋東部のエルニーニョの変動の増大
Nature 564, 7735 doi: 10.1038/s41586-018-0776-9
エルニーニョ/南方振動(ENSO)は、地球上で支配的かつ非常に重要な気候変動であり、エルニーニョ期における赤道太平洋の海面水温(SST)の上昇とラニーニャ期における同海域のSSTの低下を特徴とする。ENSO現象には中心があることが多く、これはSST偏差が最大となる場所に対応していて、赤道太平洋中部(南緯5度~北緯5度、東経160度~西経150度)または赤道太平洋東部(南緯5度~北緯5度、西経150度~90度)のどちらかにある。こうした2つの異なるタイプのENSO現象は、それぞれCP型ENSOおよびEP型ENSOと呼ばれている。将来の地球温暖化の下でENSOがどのように変化する可能性があるのかは、そうした温暖化に対する赤道太平洋東部のSSTの応答について気候モデル間で一致が見られないため、まだ分かっていない。今回我々は、2つの異なる型のENSOをシミュレートするさまざまなCMIP5気候モデルにおいて、将来のEP型ENSOのSSTの変動が確実に増大することを見いだした。我々は、EP型ENSOのSST偏差のパターンと中心は、モデルごとに大きく異なるため、観測された中心の単一のSST「指標」だけでは十分に表すことができないことを明らかにする。しかし、偏差中心の場所はそれぞれのモデルで異なっているものの、検討したモデルの大半で、それぞれの偏差中心でのSSTの変動が確実に増大していることが見いだされた。この変動の増大の主な原因は、地球温暖化によって赤道太平洋の海洋上層の成層が強まり、それによって海洋–大気結合が強まることにある。SSTの変動の増大は、より大きなSST偏差に対応する「強い」EP型エルニーニョ現象とそれに伴う極端な気象事象の数の増加を示唆している。

