構造生物学:膜に結合したレトロマー被覆のクライオ電子線トモグラフィーにより決定された構造
Nature 561, 7724 doi: 10.1038/s41586-018-0526-z
真核生物細胞は、多様な区画間でのタンパク質や脂質の輸送(メンブレントラフィック)を、タンパク質で被覆された小胞や細管を用いて行う。レトロマー複合体は、積み荷選択的な輸送を行う細管状小胞の、エンドソーム膜からの生成に必要とされる。レトロマーは真核生物では保存されていて、数百種の膜貫通タンパク質の細胞内局在や細胞内恒常性を制御しており、レトロマーの形成不全は重要な神経変性疾患と関係付けられている。レトロマーが集合する仕組みや、被覆細管を形成するために調達される仕組みについては分かっていない。今回我々は、クライオ(極低温)電子線トモグラフィー法とサブトモグラム平均を用いて、bin/amphiphysin/rvs-domainを含むソーティングネクシンタンパク質のVps5と共に、細管状の膜上に集合したレトロマー複合体(Vps26–Vps29–Vps35)の構造を報告する。これにより、膜に結合したVps5配列が明らかになり、そこからレトロマーのアーチが膜表面から離れた場所へと伸びていることが分かった。Vps35はこのようなアーチの「脚」を形成し、Vps29はアーチの頂点にあって、そこからは調節因子と自由に相互作用することができる。アーチの基部は相互に接続しており、Vps5にはVps26を通して接続している。細胞中の被覆細管上にも同じようなアーチが存在することから、これらの機能的重要性が確認された。Vps5は、以前に報告された積み荷とSnx3の結合部位と類似した位置でVps26に結合していて、これはまた別のレトロマーソーティングネクシン集合体の存在を示唆している。今回の構造から、被覆の構成とその集合機構についての手掛かりが得られ、レトロマーは調節タンパク質間相互作用の足場を提供する一方で、膜表面上のソーティングネクシンの分布を方向付けることで細管形成を促進していると考えられる。

