構造生物学:PtdIns(4,5)P2はGPCRの活性状態を安定化し、Gタンパク質との共役の選択性を高める
Nature 559, 7714 doi: 10.1038/s41586-018-0325-6
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は多くの生理的過程に関わっており、そのため薬剤の重要な標的となっている。GPCRについては詳細な構造情報が得られているが、脂質が受容体、また下流でのGPCRとGタンパク質との共役に及ぼす影響はほとんど分かっていない。今回我々は、非変性質量分析法を用いて、3種類のクラスA GPCRに結合している内在性脂質を明らかにした。さらに、ホスファチジルイノシトール 4,5-ビスリン酸(PtdIns(4,5)P2)が近縁の脂質よりも優先的に結合することを明らかにし、受容体の細胞内表面にPtdIns(4,5)P2の結合が集中する部位が含まれることを確かめた。内在性脂質はまた、アデノシンA2A受容体(A2AR)が共役する三量体タンパク質複合体であるGαsβγに直接結合していることが気相で観察された。改変したGαサブユニット(ミニGαs、ミニGαiおよびミニGα12)を用いて、ミニGαsとβ1アドレナリン受容体(β1AR)の複合体が、2分子のPtdIns(4,5)P2の結合によって安定化されることが明らかになった。対照的に、PtdIns(4,5)P2は、β1ARと他のGαサブユニット(ミニGαiあるいはミニGα12)との共役や、高親和性ナノボディとの共役は安定化しない。また、これらの受容体に結合する他の内在性脂質は共役には全く影響を及ぼさないことから、PtdIns(4,5)P2の特異性が明確になった。PtdIns(4,5)P2の存在下で活性化ニューロテンシン受容体がGαiβγ三量体複合体と共役した際の平均力ポテンシャルの計算とGTP代謝回転が亢進することからも、PtdIns(4,5)P2の共役に対する特異的影響のさらなる証拠が得られる。我々はまた、PtdIns(4,5)P2がクラスA GPCRの塩基性残基と架橋を形成する際に使われる重要な残基が、対応するGαサブユニット上にあることを突き止めた。脂質が受容体にこのような調整的影響を及ぼすことは、クラスA GPCRの機能やGタンパク質選択性の理解、また薬剤標的としての性質解明に重要となるだろう。

