分子生物学:プレスプライソソームの構造から得られたスプライソソームの集合と調節に関する知見
Nature 559, 7714 doi: 10.1038/s41586-018-0323-8
分岐とエクソン結合という2つの化学反応によってmRNA前駆体からのイントロン切断を触媒しているスプライソソームは、5つの核内低分子リボ核タンパク質粒子(snRNP;U1、U2、U4、U5、U6)と多くの非snRNP因子からなる。分岐の際には、イントロン5′スプライス部位と分岐部位配列がU1 snRNPおよびU2 snRNPによりそれぞれ選択され、プレスプライソソームへと導入されて、選択的スプライシング因子による調節の中心となる。続いて、U4/U6.U5 tri-snRNPがプレスプライソソームと結合して、完全な触媒前スプライソソームを形成する。最近の研究で、分岐とエクソン結合の構造学的基盤が明らかになったが、スプライソソーム集合の初期過程の構造学的基盤には依然として不明なところが多い。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)プレスプライソソームのニア原子分解能でのクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を報告する。この構造から、U1 snRNP中の5′スプライス部位結合がどのようにして安定化されるかが明らかになり、共にヒト疾患に関係しているヒト選択的スプライシング因子LUC7-like(酵母のLuc7)およびTIA-1(酵母のNam8)の機能に関係する構造学的知見が得られた。プレスプライソソームでは、U1 snRNPとU2 snRNPが、U2の3′ドメインとの安定な接触と、U2 SF3bを含む5′部位との酵母特異的な一過的接触を介して結合していて、そのtri-snRNPとの結合界面は完全に露出している。これらの結果から、集合したスプライソソーム中での5′スプライス部位のU6 ACAGAGA部位への移動と、それに続く活性化可能なB複合体スプライソソームへの転換機構が示唆される。これらのデータをまとめると、スプライソソーム集合の初期段階を研究するための作業モデルが与えられる。

