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分子生物学:ヒストンデアセチラーゼ3は急な熱産生誘発に対して褐色脂肪組織に準備をさせる

Nature 546, 7659 doi: 10.1038/nature22819

褐色脂肪組織は発熱器官であり、化学エネルギーを熱として放散して動物を低体温症から守り、代謝性疾患を防ぐ。しかし、低温環境にさらされる前に褐色脂肪組織の発熱容量を決める転写機構については不明である。今回我々は、褐色脂肪組織のエンハンサーを活性化して発熱能力を確保するのに、ヒストンデアセチラーゼ3(HDAC3)が必要なことを明らかにする。褐色脂肪組織特異的にHDAC3遺伝子を除去したマウスは、急に低温にさらされると重度の低体温症になって死んでしまう。HDAC3を欠失した褐色脂肪組織には、脱共役タンパク質1(UCP1)がほとんど存在せず、またミトコンドリアの酸化的リン酸化に関わる遺伝子の発現が大幅に減って、ミトコンドリア呼吸が低下している。HDAC3は通常は転写コリプレッサーとして働くにもかかわらず、意外なことに褐色脂肪組織ではエストロゲン関連受容体α(ERRα)のコアクチベーターとして機能する。HDAC3によるERRαの共活性化は、PGC-1αの脱アセチル化を介して起こり、Ucp1Ppargc1a(PGC-1αをコードする)および酸化的リン酸化に関わる遺伝子の転写に必要とされる。重要なのは、HDAC3がこれらの遺伝子の基礎レベルの転写を、アドレナリン刺激とは無関係に促進することである。従って、HDAC3は褐色脂肪組織でUcp1と発熱用転写プログラムを独特な形で予備刺激して、褐色脂肪組織に不可欠な発熱能力を維持させ、危険な低温曝露の際に迅速に対処できるようにしている。

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