構造生物学:標的DNA切断後に形成されたCpf1エンドヌクレアーゼ–Rループ複合体の構造
Nature 546, 7659 doi: 10.1038/nature22398
Cpf1は、強力なゲノム編集手段として最近登場したRNA誘導型エンドヌクレアーゼである。今回我々は、グラム陰性細菌Francisella novicidaのCpf1がDNA切断後に生じる三本鎖Rループと複合体を形成した状態の構造を決定し、それから得られたDNA標的化機構についての考察を示す。この構造から、DNAをほどいてCRISPR RNA(crRNA)–DNAハイブリッドを形成し、一本鎖DNA鎖を引き離す装置が明らかになった。PAM(protospacer adjacent motif)を認識するのは、PAM相互作用ドメインである。このドメイン内のループ-リシンヘリックス–ループモチーフには3つの保存されたリシン残基が含まれ、これらは二本鎖DNAに歯のように差し込まれている。二本鎖DNAの開裂は、酸性残基と疎水性残基が作る割れ目中で起こり、crRNA–DNAハイブリッドの形成が促進される。PAM一本鎖DNAは、疎水性と塩基性の残基が混じって存在するキャビティを通って、ヌクレアーゼ部位へと送り込まれる。この触媒型コンホメーションでは、PAM相互作用ドメインは「レール」様の、REC1ドメイン中のヘリックス–ループ–ヘリックスモチーフは「ふた」が閉じた状態(flap-on)のコンホメーションをとって、PAM鎖をキャビティへと誘導する。RuvC-IIとREC1ドメイン間の立体障壁が、引き離されたPAM鎖とcrRNA–DNAハイブリッドとを隔てる「隔壁」となって、DNAが再びアニーリングするのを防いでいる。重要な残基の変異から、PAMをDNAヌクレアーゼ作用部位に結び付ける機構が明らかになった。今回のCpf1構造の分析により、RNA誘導型DNA切断の特異なワーキングモデルが得られ、Cpf1のデザイン変更への新しい道が考えられる。

