Letter
古人類学:モロッコのジェベル・イルード由来の新たな化石およびホモ・サピエンスの汎アフリカ起源
Nature 546, 7657 doi: 10.1038/nature22336
化石証拠からは、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)が、アフリカでホモ・ハイデルベルゲンシス(H. heidelbergensis)またはホモ・ローデシエンシス(H. rhodesiensis)と呼ばれる集団から生じたことが示されている。しかし、ホモ・サピエンスが出現した正確な場所や時期については、化石記録が乏しく、多くの重要な標本の年代が確定されていないため、いまだ明らかになっていない。特に、現在見られる「現代的な」形態が、約20万年前にホモ・サピエンスの初期の集団間で急速に出現したのか、それとも40万年の年月を経て徐々に進化してきたのかについては不明である。本論文では、モロッコのジェベル・イルードで新たに発見されたヒト化石について報告するとともに、この遺跡に由来するヒト族と他の旧人類集団および最近のヒト集団との類縁関係を説明する。ジェベル・イルードの標本には、初期または最近の解剖学的現生人類と一致するような顔、下顎および歯の形態などの特徴と、より原始的な神経頭蓋および頭蓋内の形態的特徴とがモザイク状に存在していた。この証拠と、熱ルミネッセンス年代測定法で決定された31万5000 ± 3万4000年前という年代を合わせると、ジェベル・イルードは、現代的形態の主要な特徴が確立されたホモ・サピエンスのクレードの初期段階を記録する、アフリカの中期石器時代ヒト族遺跡の中で最も古く最も標本が豊かな遺跡となる。さらに、この遺跡はホモ・サピエンスの出現の背後にある進化の過程が、アフリカ大陸全土に関わっていたことを示している。

