Letter

生物工学:ヒトインタラクトームの構造が明らかにするタンパク質共同体と疾患ネットワーク

Nature 545, 7655 doi: 10.1038/nature22366

細胞の生理的状態は、協調して作用して細胞応答を形作る数千に及ぶタンパク質の産物と見なすことができる。協調の一部はタンパク質間相互作用ネットワークを介して達成されており、機能が関連するタンパク質がこのようなネットワークによって組み合わされて複合体や細胞小器官、シグナル伝達経路が作られる。ヒトプロテオームの構造の解明は、細胞活動、構造や進化の機序についての情報をもたらす可能性があり、またゲノム間の差異が疾患にどのように関わるかを解明するのにも重要である。本論文では、BioPlex 2.0(Biophysical Interactions of ORFeome-derived complexes)について報告する。これはロバストなアフィニティー精製–質量分析という手法を使ってタンパク質相互作用ネットワークと共複合体(co-complex)の解明を行ったもので、このネットワークと共複合体はヒトゲノムのタンパク質コード遺伝子の25%以上を核としていて、この種のネットワークの中では、我々の知る限りでこれまでで最大のものである。BioPlex 2.0には、5万6000を超える相互作用候補に加えて、これまで知られていなかった共同関連性(co-association)が2万9000以上含まれ、特性がほとんど知られていない数百のタンパク質の機能についての手掛かりを提供する一方で、ドメインの関連性、細胞内の位置、共複合体の形成について、ネットワークに基づいた解析が向上している。相互作用するタンパク質の教師なしマルコフクラスタリングにより、さまざまな細胞活動を行っているタンパク質共同体が1300以上明らかにされた。細胞の適応度に不可欠な遺伝子は、中心的な細胞機能に関わる53のタンパク質共同体内に集中していた。さらに、2000以上の疾患アノテーションに関連する442の共同体が見つかり、多数の疾患遺伝子候補を細胞という枠組み中に位置付けた。BioPlex 2.0は、実験から得られたこれまでの相互作用ネットワークよりも深度と範囲で優れており、特性解明が不完全なタンパク質の生物学的性質の解明とプロテオームの構造のもっと大規模なパターン解明に役立つ有用な情報供給源となるだろう。

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