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神経科学:逆行性標識と遺伝子プロファイリングで明らかになった視索前野睡眠ニューロン

Nature 545, 7655 doi: 10.1038/nature22350

ヒトなどの哺乳動物種では、視床下部の視索前野の損傷が重篤な睡眠障害を引き起こすことから、睡眠生起に視索前野が重要な役割を持つことが分かる。しかし、その基盤となる回路機構はほとんど分かっていない。電気生理学的記録やc-Fosの免疫組織化学によって、睡眠時に活動するニューロンが、視索前野、特に腹外側視索前野や正中視索前核に存在することは知られている。また、c-Fosで標識された睡眠時活動ニューロンを薬理遺伝学的に活性化すると睡眠が誘導されるとする報告もある。しかし、睡眠時活動ニューロンは覚醒時活動ニューロンと空間的に入り混じっており、睡眠ニューロンを特異的に標的とした回路の解析は難しい。今回我々は、投射先を基盤として視索前野の睡眠ニューロン群を明らかにし、その分子マーカーを見つけた。チャネルロドプシン-2または光活性化塩素イオンチャネルを発現するレンチウイルスを、逆行性標識や両方向性光遺伝学的操作、およびオプトロード記録に用いることで、視索前野から結節乳頭核に投射するGABA作動性ニューロンが、睡眠時活動を示すとともに睡眠促進を行うことが示された。さらに、翻訳中のリボソームのアフィニティー精製と単一細胞RNA塩基配列解読法によって、これらのニューロンのマーカー候補が明らかになり、また、光遺伝学および薬理遺伝学的操作を行ったところ、複数のペプチドマーカー(コレシストキニン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、タキキニン1)により、睡眠促進ニューロンが標識された。これらの知見から、視索前野の睡眠促進ニューロンへの遺伝学的アクセスが容易になり、睡眠を制御する回路を解析するための貴重な突破口が得られた。

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