分子生物学:piRNAの3′末端の形成の遺伝的および機構的な多様性
Nature 539, 7630 doi: 10.1038/nature20162
調節性の小分子RNAは、その標的にArgonaute(Ago)タンパク質を塩基配列特異的に誘導するため、真核生物の遺伝子サイレンシングに重要な役割を持っている。3種類の小分子RNAのうち、マイクロRNAや短鎖干渉RNAは、固有の計測機能を持つエンドリボヌクレアーゼDicerによるプロセシングを受けて二本鎖前駆体から決められた21~23 merになる。piRNA(PIWI-interacting RNA)は、22~30 ntの長さで、動物の生殖腺でトランスポゾンを抑制するPIWI系のAgoタンパク質を誘導するが、Dicerとは独立に一本鎖前駆体から作り出される。piRNAの5′末端は、ミトコンドリアに繋留されるエンドヌクレアーゼmitoPLDのショウジョウバエ(Drosophila)ホモログであるZucchini、あるいはpiRNAが誘導する標的切断のどちらかにより決まる。しかしpiRNAの3′末端の形成についてはよく分かっていない。今回我々は、ショウジョウバエでpiRNAの3′末端を作り出す遺伝学的および機構的に異なる2つの経路を報告する。開始ヌクレアーゼは、ZucchiniまたはPIWIタンパク質[Aubergine(Aub)あるいはAgo3]のどちらかである。Zucchiniによる切断はpiRNAの成熟3′末端を直接決定するが、Aub/Ago3による切断ではpre-piRNAが遊離し、3′から5′方向のエキソリボヌクレアーゼNibbler(Mut-7のショウジョウバエホモログ)よる大規模な切除が必要になる。これらの2つの経路の相対的な活性により、piRNAが細胞質あるいは核のPIWIタンパク質にどの程度向かうかが決まるため、転写後サイレンシングと転写サイレンシングの間のバランスが設定される。重要なことに、ZucchiniとNibblerの両方を欠失させることにより、Argonauteが誘導する最小限の小分子RNA生合成経路が明らかになり、その経路ではpiRNAの5′末端および3′末端はAub/Ago3による近接した切断により直接作り出される。我々のデータからpiRNA生合成のコヒーレントモデルが明らかになり、このデータによってpiRNAの3′末端形成を支配する過程の機構的な解明が進むであろう。

