神経科学:神経伝達物質の放出部位を受容体部位にそろえるシナプス間ナノカラム
Nature 536, 7615 doi: 10.1038/nature19058
シナプス伝達は、精緻なシナプス下の分子構成で維持されており、シナプス構造がほんの少し変わるだけで、経験依存的な可塑性や病理的な障害の際の機能的な変化が起こる。この構成でカギとなるのは、シナプス前の小胞融合部位の分布がシナプス後肥厚における受容体部位とどのようにして対応するのか、という点である。しかし、こうした空間的位置関係がシナプス強度を調節することは、以前から認識されていたものの、光学顕微鏡の分解能の限界などから、正確な記載はなされてこなかった。今回我々は、局在化顕微鏡法を用い、小胞のプライミングと融合を仲介する主要タンパク質群が、シナプス前の活性帯でナノメートルスケールの小領域内で相互に集積し合っていることを示す。培養下のラット海馬ニューロンの単一シナプス内で小胞融合部位をマッピングする新たな方法の開発により、活動電位で誘発される融合は、タンパク質の勾配によって導かれ、活性帯内のRab3結合分子(RIM)の局所密度の高い限られた領域で選択的に起こることが分かった。こうしたシナプス前RIMナノクラスターは、シナプス後受容体と足場タンパクの集中域に近接して並んで配置していることから、シナプス間の分子的「ナノカラム」の存在が示唆される。活性帯のナノ構成は、活動電位誘発小胞融合が、シナプス後受容体–足場複合体と真向かいになる部位で選択的に起こるよう導いていると考えられる。意外にも、NMDA受容体の活性化は、まずシナプス後の再編成が起こってからシナプス間のナノスケールの再配置が起こるという、異なる可塑性の相を導く。この構成から、中枢神経系シナプスがシナプス効率を維持、調節する単純な構成原理が示唆される。

