分子生物学:真核生物での終止コドン認識の構造基盤
Nature 524, 7566 doi: 10.1038/nature14896
タンパク質合成は、翻訳中のリボソームが広く保存されている3つの終止コドン、UAA、UAGあるいはUGAの1つに遭遇すると終結する。終結因子はリボソームのA部位で終止コドンを認識して、新生ポリペプチド鎖の遊離とリボソームの再利用を仲介する。細菌は、終止コドンの解読に2種類の終結因子を用いていて、これらは2番目および3番目の塩基に対する特異性が異なっている。これとは対照的に、真核生物は3つの終止コドン全ての認識を進化的には関連のない全能の終結因子(eRF1)に依存して行っている。eRF1がセンスコドンと終止コドンを識別する際の分子基盤は分かっていない。今回我々は、A部位で3種類の終止コドンのそれぞれと相互作用しているeRF1を含む複数の哺乳類リボソーム複合体の、低温電子顕微鏡法による3.5~3.8 Å分解能での構造を示す。eRF1の結合により18SリボソームRNA(rRNA)のヌクレオチドA1825が位置を変え、終止コドンの2番目と3番目の塩基の上に重なる形になる。このような立体配置によって4番目の塩基がA部位に引き入れられ、そこで18S rRNAのG626と重なることで安定化される。従ってeRF1は、転移RNAの選択にも使われた2つのrRNAヌクレオチドを用いてメッセンジャーRNA(mRNA)を緊密な構造にまとめる。mRNAがこうした緊密なコンホメーションになると、eRF1中にあって塩基の識別を制約している重要な残基とrRNAとの間で形成されている水素結合ネットワークは、終止コドンを選んで相互作用するようになる。これらの結果は、真核生物の終止コドン認識の分子的枠組みとなるもので、また定型的な翻訳終結や中途での翻訳終結の機構についての将来の研究にも関わってくるだろう。

