発生生物学:mycによる細胞の混合は組織の競合的な浸潤と破壊に必要とされる
Nature 524, 7566 doi: 10.1038/nature14684
細胞間インターカレーションは、正常なボディープランを形作るいくつかの発生過程で使われている。インターカレーションが病理に関与している明確な証拠はない。我々はがん原遺伝子mycを用いて、腫瘍の拡大の初期段階に類似した過程である、mycによる細胞競合について調べた。細胞競合は、増殖の遅い細胞(いわゆる「敗者」)を、より増殖の速い近隣細胞(いわゆる「勝者」)がアポトーシスを介して除去する過程を促す保存された機構で、発生での形成異常を防ぐために重要であり、組織の適応度はこれによって維持されている。本研究では、ショウジョウバエ(Drosophila)の蛹の胸背板と翅成虫原基で長時間のライブ画像化を行い、敗者細胞が除去される確率が、勝者との接触面に関連することを示す。つまり、敗者と勝者の接触面の形態を変えることで、競合の強さを調節することが可能である。さらに我々は、敗者クローンの除去には、細胞間インターカレーションを介した勝者と敗者の細胞の混合が必要であることを明らかにした。細胞の混合は、増殖性が異なること、および、勝者と敗者、敗者と敗者の間の接触面と比較して、勝者と勝者間の接触面の張力が高いことにより生じ、その結果として勝者と敗者の接触がより安定し、時間経過とともにクローンの緊密性が減少する。張力の違いは、敗者と勝者の結合間のFアクチンレベルの相対的な違いにより生じ、これは膜脂質ホスファチジルイノシトール 3,4,5-トリスリン酸のレベルの違いにより誘導される。本研究は、がん原遺伝子により誘導される細胞間インターカレーションと、それが正常組織の侵襲性と破壊を促す仕組みとのつながりを、初めて明らかにするものである。

