神経科学:運動の差を検出する網膜内回路の形成を決めるsidekick 2
Nature 524, 7566 doi: 10.1038/nature14682
哺乳類の網膜では、約70種類の介在ニューロンが、内網状層と呼ばれる節内神経回路で、約30種類の網膜神経節細胞(RGC)と特異的シナプスをつくっている。それぞれのRGC種は、視覚入力から際立った特徴を抽出し、さらなる処理のために脳のより深部へ送る。内網状層で形成されたシナプスの特異性と定型性とによって、RGCの特徴検知能が説明できる。今回、マウスのRGCの一種であるW3B-RGCのシナプスについて、その発達と機能を解析した。この細胞は、小型の視対象が背景と異なるタイミングで動くときには応答するが、タイミングが一致するときには応答しないという注目すべき性質を持つ。こうした細胞は局所周縁検出器または対象運動検出器と呼ばれており、動いている視光景の中で別の動きをする対象を識別できる。我々は、W3B-RGCが、VG3(小胞型グルタミン酸輸送体3)-ACと呼ばれる珍しい興奮性アマクリン細胞種から、強力かつ選択的な入力を受けていることを示す。W3B-RGCとVG3-ACは、共に免疫グロブリン・スーパーファミリーの認識分子であるsidekick 2(Sdk2)を発現しており、機能喪失実験および機能獲得実験の両方により、このSdk2依存的なホモフィリックな相互作用が結合選択性に必要なことが示された。Sdk2によって特徴付けられるシナプスは、W3B-RGCの視応答に重要だといえる。大部分のRGCは双極細胞から直接に視覚入力を受けているのに対し、このW3B-RGCは多くの視覚入力をVG3-AC経由で間接に受けている。この非カノニカルな回路が、受容野中央の光受容細胞からW3B-RGCに至る経路に遅延をもたらし、これが局所的な動きと広い動きの同期性を判断する能力を高めている可能性がある。

