生物物理学:クラスCのGタンパク質共役受容体のコンホメーション動力学
Nature 524, 7566 doi: 10.1038/nature14679
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は真核生物で膜受容体の最大のファミリーを構成している。結晶構造から、リガンドやGタンパク質とGPCRとの相互作用についての手掛かりが得られているが、活性化のコンホメーション動力学に関する解明は不十分である。代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)はクラスCに属する二量体のGPCRで神経細胞の興奮性やシナプス可塑性を調整していて、神経障害での薬剤標的となっている。「クラムシェル型」のリガンド結合ドメイン(LBD)にはリガンド結合部位が含まれ、システインリッチドメインを介して膜貫通ドメインに連結しており、LBDが閉じることが活性化の第一段階であるらしい。単離されたmGluRのLBD二量体の結晶構造から、活性化には二量体界面の「弛緩」状態から「活性」状態への再配列も関与していることが示唆されたが、リガンドの結合、LBD閉鎖および活性化の際の二量体界面の再配列の間の関係についてはまだよく分かっていない。今回我々は、単分子蛍光共鳴エネルギー移動法を用いて、哺乳類のグループIIに属する完全長mGluRの活性化機構を調べた。LBDは、静止型と活性化型、それに短寿命の中間状態という3つのコンホメーションの間で相互変換していることが分かった。オルソステリックなアゴニストにより、これらのコンホメーションの間の移行が引き起こされ、アゴニストの有効性は活性なコンホメーション占有率により決定される。mGluR3は、mGluR2とは異なりCa2+に依存する基本的な動力学的性質が見られ、それによってタンパク質は基本的に活性化されている。我々の結果は、アゴニストの結合によってLBDが閉じ、それに続いて二量体界面の再配列が起こるというmGluR活性化の一般的な機構を裏付けるものである。今回使われた実験戦略は、GPCRなどの膜タンパク質のコンホメーション動力学的研究に広く応用可能であると考えられる。

