発生生物学:脊椎動物以前の神経プラコードの起源
Nature 524, 7566 doi: 10.1038/nature14657
脊椎動物の系統分岐の初期に突如として神経堤と神経プラコードが出現したことは、1世紀以上にわたって生物学者を悩ませてきた。これらの胚性組織は、脊椎動物で「新しい頭部」が進化するために非常に重要であった頭蓋と関連感覚器官の発生に寄与する。以前の研究で、祖先型の脊索動物には、原始的な神経堤細胞が存在することが示唆されている。しかし、神経プラコードの進化的起源については、現生分類群の中でそれらの初期脊椎動物に最も近縁な尾索動物(被嚢類)の胚のデータがあまりないため、よく分かっていない。本研究では、尾索動物のカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)に原始的プラコード外胚葉(PPE;proto-placodal ectoderm)があることを示す。PPEは、脊椎動物全体で保存された発生過程で見られるように、骨形成タンパク質(BMP)の抑制を必要とし、主要な調節決定因子であるSix1/2とそのコファクターEyaを発現する。ホヤのPPEは繊毛を持つニューロンを生み出し、これらの細胞では生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、Gタンパク質共役型のリラキシン-3受容体(RXFP3)、機能的な環状ヌクレオチド感受性チャネル(CNGA)の遺伝子発現が見られた。このことは化学感覚と神経分泌の2つの活性を持つことを示唆している。以上の観察結果は、ホヤに神経プラコードの原型が存在する証拠を示しており、このプラコードから形成されるニューロンは、脊椎動物の嗅覚プラコードに由来するニューロンや視床下部ニューロンに近いように思われる。我々は、ホヤのPPEに由来するGnRHニューロンが、脊椎動物において感覚情報と神経内分泌機能を統合する複雑な神経回路の原型となった、祖先型の細胞種に類似している可能性について考察する。

