気候科学:10年スケールの気候変動に対する天然ガス使用量の増加の限定的な影響
Nature 514, 7523 doi: 10.1038/nature13837
過去10年間で最も重要なエネルギー開発は、水圧破砕技術の普及であり、以前は非経済的であったシェールガス資源の産出が北米で可能になった。こうした先進的なガス産出技術が世界中に普及すれば、エネルギー市場には経済的に競争力のある非在来型のガス資源が大量に流入すると予測できる。こうした豊富な天然ガスの気候に対する影響は、激しい論争の的になっている。石炭の代わりとなる豊富な天然ガスによって、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減できるという意見を述べている研究者もいれば、シェールガス産出に伴うCO2以外の温室効果ガスの排出によって、ライフサイクルの排出量が石炭より多くなると報告している研究者もいる。豊富なガスが気候変動へ与える影響を評価するには、全球的なエネルギー–経済–気候システムに対する統合的アプローチが必要であるが、地理的範囲か温室効果ガスの補償範囲のどちらかしか報告されていない。本論文では、非在来型の天然ガスの全球供給量が市場主導型で増加しても、温室効果ガス排出量曲線や気候強制力は目に見えて低下しないことを示す。今回の結果は、豊富なガスのシナリオによって独立に強制される、エネルギー–経済–気候システムの5つの最先端の統合評価モデルによるシミュレーションに基づいており、2050年までに天然ガス消費量が最大で170%増えると予測している。しかし、CO2排出量への影響はずっと小さい(−2%~+11%)ことが見いだされ、大半のモデルでは、豊富なガスの使用量の増加に伴う気候強制力の増大は小さい(−0.3%~+7%)と報告されている。今回の結果は、全球的に豊富なガスの市場浸透は、将来のエネルギーシステムをかなり変化させる可能性があるが、気候変動緩和政策にとっては必ずしも有効な代替策ではないことを示している。

