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無機化学:9価の形式酸化状態をとるイリジウム含有化合物の同定

Nature 514, 7523 doi: 10.1038/nature13795

化学において、また周期表内において最も重要な分類の1つは、形式酸化状態という概念である。異常な酸化状態をとる元素が含まれる化合物を合成しその特性を評価することは、化学において非常に興味深い。より高次の酸化状態が主張されてはいるが、現時点では、あらゆる化学元素の中で、実験に基づく最も高い既知の形式酸化状態は、8価である。8価の酸化状態をとる化合物には、数種のキセノン化合物(例えばXeO4、XeO3F2)や、十分特性が評価されている化学種RuO4、OsO4がある。9個の価電子を持つイリジウムは、酸化されて8価を超える酸化状態になる可能性が最も高いと予測されている。最近のマトリックス単離実験において、希ガスマトリックス中で単離分子としてIrO4分子の特性が評価された。IrO4中のイリジウムの価電子配置は5d1で、形式酸化状態は8価である。IrO4から残りのd電子を取り除くと四酸化イリジウムカチオン([IrO4]+)が得られると思われる。[IrO4]+は安定であると最近予測され、そのカチオン中のイリジウムは9価の形式酸化状態をとる。過去に、[IrO4]+種が生成した可能性が何度か推測されたが、こうした実験観測では構造的な裏付けがなされなかった。今回我々は、[IrO4]+を形成し、赤外光解離分光法で同定したことを報告する。現在利用できる最高レベルの理論で量子化学計算を行ったところ、考えられる全ての[IrO4]+異性体の中で、Td対称構造とd0電子配置を持つ四酸化イリジウムカチオンが最も安定であると予測された。

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