細胞:膵δ細胞の齢依存的なインスリン産生細胞への変換による糖尿病からの回復
Nature 514, 7523 doi: 10.1038/nature13633
1型糖尿病では、インスリンを産生するβ細胞が、全てあるいはほぼ全て喪失する。そのため、1型糖尿病におけるインスリン産生の回復は重大な医学的難題である。我々は以前に、β細胞を完全に除去されたマウスでは、自己免疫がない場合に、膵臓で新しいインスリン産生細胞が再構築されることを観察した。この過程には膵島の非β細胞が関与しており、具体的にはグルカゴンを産生するα細胞は、増殖せずに、再プログラム化の過程(分化転換)により、インスリンの産生を開始する。本論文では、マウスでほぼ全てのβ細胞が欠損させた後に、不均一な膵島細胞からのβ細胞再構築に齢がどのような影響を及ぼすかを示す。α細胞の可塑性には老化による変化は見られず、α細胞は、春機発動期後から成体期を通して、また老齢になっても、β細胞喪失後から長期間にわたり再プログラム化してインスリンを産生できるようになる。対照的に、春機発動期前ではα細胞の変換は検出されないが、損傷後のβ細胞再構築はより効率的に行われ、常に糖尿病からの回復が見られる。この過程は、新しく発見された機構を介している。すなわち、ソマトスタチンを産生するδ細胞が集団として自発的に再プログラム化されるのである。若齢マウスでは、「ソマトスタチン産生からインスリン産生」へのδ細胞の変換が見られ、これには、脱分化、増殖および膵島の発生調節因子の再発現が関与している。この若齢マウスの適応性の少なくとも一部は、FoxO1と下流のエフェクターの複合的な作用に依存している。従って、非β細胞起源のインスリン産生細胞の回復は、δ細胞あるいはα細胞の自発的な再プログラム化を介して、一生を通じて可能である。今回明らかになった複数の膵島内細胞の相互変換事象の全体像により、治療に向けた新たな展望が得られた。

