分子生物学:FTO内の肥満関連バリアントは、IRX3と長距離にわたる機能的な関連を形成する
Nature 507, 7492 doi: 10.1038/nature13138
FTOのイントロン内の複数のバリアントと、肥満および2型糖尿病(T2D)のリスク増加の間の関連については、全ゲノム関連研究(GWAS)で再現性のある結果が得られている。これらの非コードバリアントを肥満に関連させる分子機構は直接に明らかにされてはいないが、マウスでのその後の研究から、FTOの発現レベルがボディマスおよび身体組成の表現型に影響を与えることが実証された。しかし、これらの肥満関連バリアントとFTOの発現あるいは機能との間の直接の結び付きは明らかにされていない。本論文では、FTO内の肥満関連非コード配列が、数メガ塩基離れたホメオボックス遺伝子IRX3の機能と関連していることを示す。この肥満関連FTO領域は、ヒト、マウスおよびゼブラフィッシュのゲノムで、IRX3のプロモーターだけでなく、FTOのプロモーターとも直接相互作用する。さらに、この領域内の長距離エンハンサーは、IRX3発現の諸相を再現することから、この肥満関連区間はIRX3の全体的な調節に関わっていると考えられる。これと一致して、肥満関連一塩基多型は、ヒト脳でのIRX3発現に関連しているが、FTOの発現には関連していない。IRX3の発現と、ボディマスおよび身体組成の調節との間に直接の関連があることは、Irx3欠損マウスでは体重が25~30%少ないことによって実証される。これは主に、脂肪量の減少および白色脂肪組織の褐色化に伴う基礎代謝率の増加を介して起こる。さらに、Irx3の優性ネガティブ型を視床下部で発現させると、Irx3欠損マウスの代謝表現型が再現される。以上より、IRX3は、FTO内の肥満関連バリアントの機能的な遠隔標的であり、ボディマスおよび身体組成の新規決定因子であることが示唆される。

