環境化学:地質学的時間スケールでのCO2供給源としての硫化物の酸化と炭酸塩の溶解
Nature 507, 7492 doi: 10.1038/nature13030
地球の気候に見られる数百万年にわたる安定性は、固体地球からの二酸化炭素(CO2)放出速度がケイ酸塩の風化によるCO2消費速度と釣り合っていることに依存していると考えられている。過去約6600万年にわたる新生代において、海洋のストロンチウム、オスミウム、リチウムの同位対比が同時に増加したことは、山脈が広範に隆起したためにケイ酸塩の風化によるCO2消費が促進された可能性があることを示唆しているが、海洋底拡大の再構築結果は、火山性脱ガスによるCO2の放出量がそれに対応して増加したことを示していない。この結果生じる不均衡は、数百万年以内に大気から全てのCO2を枯渇させることになるだろう。そのために、新生代の同位体記録と長期にわたる炭素循環の質量平衡の必要性を両立させることは、地球化学と地球史の主要な未解決の難題の1つとなっている。本論文では、炭酸塩の溶解と硫化物の酸化の増大が結び付いて、地質学的時間スケールにわたって関連する地球大気へのCO2の一時的な供給源となることを示す。ケイ酸塩の風化による減少と同様に、この供給源はテクトニクス的隆起によりおそらく強化されるので、新生代における大気中のCO2分圧の相対的な安定性に寄与した可能性がある。他にもさまざまな仮説がこの「新生代同位体-風化パラドックス」を説明するために提案されており、炭素循環の進化はおそらく複数の過程に依存している。しかし、炭酸塩の溶解と結び付いた硫化物の風化の重要な役割は、放射性同位体の記録、大気CO2分圧、新生代の硫黄循環の進化と矛盾がなく、全球酸素分子循環の地質学的に無理のない変化によって説明できるので、このCO2供給源は、重要である可能性があるが一般的にまだ認識されていなかった長期炭素循環の構成要素であると考えるべきであることが示唆される。

