生物工学:哺乳類における内因的な転写およびエピジェネティック状態の光制御
Nature 500, 7463 doi: 10.1038/nature12466
遺伝子発現の動的な性質は、生体系における細胞プログラミングや恒常性、環境適応を可能にしている。従って、細胞内や生物個体内で起こる過程の原因となる遺伝子機能を分析するためには、遺伝子発現の時空間的に正確な調節を可能にする手法が必要となる。近年では、微生物や植物に由来する多様な光感受性タンパク質が光遺伝学的アクチュエーターとして改変され、多くの細胞機能の時空間的制御がかなり正確に行えるようになった。しかし、哺乳類に内在するゲノムで転写の光調節を可能にする、用途が広くロバストな技術の開発はいまだに難しい。本研究では、光誘導性転写エフェクター(light-inducible transcriptional effector;LITE)について報告する。これは光遺伝学的ツーハイブリッドシステムで、カスタマイズ可能なTALEのDNA結合ドメインを、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の光感受性クリプトクロム2タンパク質およびその結合パートナーCIB1と組み合わせたものである。LITEは、他の外因性の化学的補因子を必要とせず、容易にカスタマイズして多くの内因的なゲノム遺伝子座を標的とすることができ、数分以内に可逆的な活性が可能である。LITEをウイルスベクターに組み込んで、特異的な細胞集団を遺伝学的に標的として調べることもできる。我々はこのシステムをマウスの初代培養ニューロンおよびin vivoで自由行動するマウスの脳に適用し、哺乳類の内在性遺伝子発現の可逆的調節およびエピジェネティックなクロマチン修飾を標的とする調節を行った。このLITEシステムは、内因的な細胞過程を光遺伝学的に制御する新たな方式を確立するものであり、正常な生物学的過程や病的状態における、遺伝的調節やエピジェネティックな調節の因果的役割を直接調べることを可能にする。

