遺伝:ヒトゲノムの動的なDNAメチル化の全体像を描く
Nature 500, 7463 doi: 10.1038/nature12433
DNAメチル化は、哺乳類の細胞の独自性を決定付ける特徴であり、正常な発生に不可欠である。生殖細胞や着床前胚を除くほとんどの細胞種では、比較的安定したDNAメチル化パターンが見られ、全CpGの70〜80%がメチル化されている。最近の進歩にもかかわらず、いつ、どこで、どれくらいの数のCpGがゲノム調節に関与するかについてはまだよく理解されていない。本論文では、30種類のさまざまなヒト細胞や組織を用い、バイサルファイト塩基配列解読法によって得た42のデータセットの詳細な解析を報告する。正常発生の範囲内では、動的な調節を受けるのは常染色体CpGの21.8%のみであり、その大部分は転写開始部位の遠位にあることが分かった。このような動的なCpGは遺伝子の調節エレメント(特に、エンハンサーおよび転写因子結合部位)と共局在しており、主要な細胞系譜特異的調節因子を突き止めるのに役立つ。さらに、DMR(differentially methylated region)は、全ゲノム関連研究によって決定された、細胞種が関係する疾患に関連する一塩基多型を含むことが多い。この結果は、バイサルファイト全ゲノム配列解読法の効率が一般的によくないこともはっきり示している。つまり、これらのデータセット全体で解読された塩基配列の70〜80%は、CpGメチル化についての意味のある情報をほとんどあるいは全く提供しなかった。さらに我々のDMRセットの有用性を実証するために、DMRセットを用いて未知の試料を分類し、主要なDNAメチル化動態を再現する代表的なシグネチャー領域を明らかにした。要約すると、理論的には全てのCpGのメチル化状態が変化できるはずだが、我々の結果は、協調的な調節プログラムの一部としてメチル化状態が変化するのはCpGのごく一部であることを示唆している。我々が選択したDMRは、最も有益な情報が得られるCpGを捕らえ、調節エレメント候補を正確に突き止めるための、新しくより有効な解析部位を限定した手法を導く出発点になり得る。

