フォトニクス:有機光起電力デバイスでの再結合の速度論的制御におけるスピンの役割
Nature 500, 7463 doi: 10.1038/nature12339
生物学的複合体では、光生成された電子と正孔の空間的隔離がカスケード構造によって促進されるため、電子と正孔の再結合が妨げられる。これに対して、有機光電池における光生成励起子は、ドナー半導体とアクセプター半導体の分離ブレンド内に形成された単一のドナーアクセプターヘテロ接合で解離する。ナノスケールの形態と高い電荷密度によって電子と正孔の遭遇率が高くなるため、原理的には、有機発光ダイオードに見られるようにスピン三重項励起子が形成されるはずである。電子と正孔が遭遇するたびに再結合が起こるなら、有機光電池の量子効率は低いはずである。それにもかかわらず、最先端の例では1に近い量子効率が実証されている。今回我々は、有機半導体におけるスピン、エネルギー論、電子励起の非局在化の関係を通して、再結合が抑制されることを示す。我々は、時間分解分光法を用いて、ポリマーの最低エネルギー分子三重項励起子(T1)が分子間電荷移動状態よりもエネルギー的に低い、一連の高効率ポリマーフラーレン・モデル系を調べている。二分子再結合後のT1状態の形成が観測されており、スピン相関のない電子と正孔の遭遇によってスピン一重項(1CT)性とスピン三重項(3CT)性を持つ電荷移動状態が生じることが示唆される。また、我々は、三重項励起子の形成が有機光電池の主要な損失機構になり得ることを示している。しかし、エネルギー的に好都合であっても、3CT状態からT1状態への緩和が波動関数の非局在化によって強く抑制され、3CT状態が自由電荷に戻る解離が可能になるため、再結合が減少しデバイス性能が向上することも見いだしている。我々の結果は、光変換システムでは電子–正孔再結合の抑制を可能にし、有機発光ダイオードでは三重項励起子の形成を回避し蛍光効率を向上させる新しい設計基準の方向を示している。

