Article 医学:がん複合薬理学のための標的およびアンチ標的の化学遺伝学による発見 2012年6月7日 Nature 486, 7401 doi: 10.1038/nature11127 がんの持つ複雑性から、最近ではキナーゼ阻害剤開発に向けた複合薬理学的な手法への関心が高まっている。しかし、最適なキナーゼ阻害プロファイルの予測は依然として困難である。今回我々は、Retキナーゼによって作製したショウジョウバエ(Drosophila)多発性内分泌腺腫2型のモデルを使用し、全キノム(kinome)薬物プロファイリングを行い、AD57は発がん性Retに誘発される死亡を救済するが、これと同類のRet阻害剤は有効性を低下させ、毒性を増大させたことを明らかにする。ショウジョウバエの遺伝的特性および化合物プロファイリングから、有効性および用量制限毒性の機構的基盤を説明する3つのシグナル伝達経路が明らかになった。Retに加えてRaf、SrcおよびS6Kを阻害することが動物の最適な生存にとって必要であるが、「アンチ標的(anti-target)」であるTorの阻害は負のフィードバックの作働に起因する毒性を引き起こした。Tor結合を起こさないように合理的に合成された化合物で、バランスのとれたシグナル伝達経路阻害を特徴とするAD80およびAD81は、ショウジョウバエおよび哺乳類の多発性内分泌腺腫2型モデルで、有効性が向上し、毒性も低下した。キナーゼに焦点を合わせた化学的特性、全キノムプロファイリングおよびショウジョウバエの遺伝的特性を統合することは、最大の治療係数を持つ化合物の開発に向けた強力なシステム薬物学的手法となる。 Full Text PDF 目次へ戻る