Letter 医学:がん細胞株百科事典は抗がん剤感受性の予測モデリングを可能にする 2012年3月29日 Nature 483, 7391 doi: 10.1038/nature11003 がんゲノムのデータを、腫瘍生物学および治療可能性に関する知識に体系的に変換することは、現在でも困難である。こうした取り組みには、ヒトのがんゲノムの多様性を反映し、詳細な遺伝学的および薬理学的な注釈付けが得られるロバストな前臨床モデル系が非常に役立つはずである。今回我々は、947のヒトがん細胞株における遺伝子発現、染色体コピー数および大規模並列処理塩基配列解読データをまとめたがん細胞株百科事典(CCLE)について報告する。479の細胞株に対する24種類の抗がん剤の薬理学的プロファイルとを合わせることにより、このデータベースによって遺伝、系譜および遺伝子発現に基づく薬剤感受性の予測因子を同定することができた。既知の予測因子に加え、形質細胞系譜とIGF1受容体阻害剤への感受性との関連性が明らかになった。すなわち、AHRの発現は、NRAS変異株におけるMEK阻害剤の有効性と関連があり、SLFN11の発現から、トポイソメラーゼ阻害剤に対する感受性が予測できた。今回の結果から、注釈付けされた細胞株の大規模な収集は、抗がん剤を前臨床段階において概略的に分類する助けとなると考えられる。前臨床段階で薬剤応答性を遺伝的に予測し、それをがんの臨床試験設計に組み入れることによって、「個別化」治療の実現が促進されるであろう。 Full Text PDF 目次へ戻る