Letter

医学:マウス肺がんでの並行臨床試験から治療に対する反応の遺伝的修飾因子が同定される

Nature 483, 7391 doi: 10.1038/nature10937

標的療法は分子レベルで解明されている一部の特定のがんに対して有効性が証明されている。肺がん患者の大部分は単一の発がん性ドライバーによって分類されるが、同一の活性化遺伝的変異を持つがんでも、同じ標的療法に対する反応では非常に大きなばらつきが見られる。この不均一性の原因となる生物学的性質は、よく分かっていないし、同時に存在する遺伝的変異(特に腫瘍抑制因子の欠損)の影響も十分に検討されていない。本論文では、遺伝的改変マウスモデルを用いて、KRAS変異型肺がん患者で現在進行中のヒト臨床試験を反映する「並行臨床(co-clinical)」試験を行った。この試験は、MEK阻害剤セルメチニブ(AZD6244)がドセタキセル(標準的な化学治療薬)の効果を増強するかどうかを決定することが目的である。我々の研究から、2つの臨床的に重要な腫瘍抑制因子、p53(別名Tp53)あるいはLkb1(別名Stk11)のどちらかを同時に欠損すると、Kras変異型がんのドセタキセル単剤療法に対する反応が顕著に低下することが示された。セルメチニブを追加すると、Kras変異およびKrasP53の変異によって引き起こされる肺がんマウスにはかなりの効果があったが、KrasLkb1の変異を持つマウスはこの併用療法に初回耐性を示した。陽電子放射断層撮影法(PET)やコンピューター断層撮影法(CT)などの薬力学的研究で、マウスおよび患者で、異なる遺伝子型におけるこれらの療法の有効性の差の理論的根拠となる生物学的マーカーが同定された。これらの並行臨床試験の結果から同定された遺伝的な予測バイオマーカーは、同時に行われている臨床試験に登録された患者の試料を調べることで確認すべきである。またこれらの研究は、同時進行する並行臨床試験の理論的根拠が、現在進行中のヒト臨床試験の結果を予測するだけではなく、ヒトにおける研究の解析と計画に役立てられる臨床的に意義ある仮説を作り出すためでもあることを強調している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度