Letter

物理:二次元フェルミ液体におけるロトン集団モードの観測

Nature 483, 7391 doi: 10.1038/nature10919

相関した多体量子系の動力学の解明は、現代物理学における難問の1つである。4He(ボソン)と3He(フェルミオン)は、そのハミルトニアンが簡単なため、強く相互作用する量子流体のモデル系として使われ、その解明に相当の努力が注がれてきた。重要で画期的だったのは、中性子散乱により液体4Heにおける集団フォノン–ロトンモードが直接観測されたことで、その結果、ランダウによる予測と素励起に関する彼の有意義な概念が確かめられた。フェルミ系では、集団密度ゆらぎ(3Heの「ゼロ音波」や電荷系の「プラズモン」として知られる)とインコヒーレントな粒子–空孔励起が観測される。小さい波数ベクトルとエネルギーでは、これら両方のタイプの励起が、フェルミ液体に関するランダウ理論で記述される。もっと高い波数ベクトルでは、集団モードは粒子–空孔バンド中へ入り、そこで強く減衰する。したがって、高波数ベクトルにおけるフェルミ液体の動力学は本質的にインコヒーレントと考えられていた。本論文では、単層の液体3Heで非弾性中性子散乱を測定して、ロトン様の励起を観測したことを報告する。フェルミ運動量の2倍より大きい運動量移動で、明確な励起として集団密度モードが再び現れることが見いだされた。したがって、ランダウ理論の範囲を越えた領域において、フェルミ多体系の予想しなかった集団的な挙動が観測されたことになる。測定したスペクトルについては、動力学的多体理論を使って満足できる解釈が得られた。

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