Letter 構造生物学:グルタミン酸–GABA対向輸送体の構造と機構 2012年3月29日 Nature 483, 7391 doi: 10.1038/nature10917 食品によって媒介される出血性大腸菌(Escherichia coli)の例としては、O157:H7型やO104:H4型などが挙げられるが、これらの大腸菌は胃のような非常に酸性度の高い環境(pH≈2)を生き延びるために、巧妙にできた酸耐性系(AR)を必要とする。AR2は、細胞質のL–グルタミン酸(Glu)を脱炭酸し、その反応生成物のγ–アミノ酪酸(GABA)を細胞外Gluと交換することにより、細胞内のプロトンを排出する。後半の交換過程は、Glu–GABA対向輸送体GadCにより媒介される。GadCは、膜輸送体のアミノ酸–ポリアミン–有機カチオンスーパーファミリーの代表的なメンバーだが、GadCの作用機序はほとんどわかっていない。本論文では、プロテオリポソームを用いるin vitro分析により、GadCは酸性条件下でのみGABA/Gluを輸送し、6.5より高いpH値では活性が検出されないことを示す。我々は、塩基性条件下にある大腸菌GadCの結晶構造を、分解能3.1 Åで決定した。12本の膜貫通セグメント(TM)からなるGadCは閉じた状態にあり、そのカルボキシル末端ドメインが、別の状況では内向きに開いているコンホメーションをふさぐ栓となっている。構造と生化学解析により、輸送に必須の残基が明らかになり、輸送経路が同定され、GadCなどのアミノ酸対向輸送体について、へリックスバンドルの剛体回転がかかわる保存された輸送機構が示唆された。 Full Text PDF 目次へ戻る