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神経:食欲を調節する神経回路の解明

Nature 483, 7391 doi: 10.1038/nature10899

アグーチ関連タンパク質(AgRP)、神経ペプチドY、γ–アミノ酪酸(GABA)を同時に発現する視床下部ニューロンは、さまざまな栄養シグナル、ホルモンシグナル、神経シグナルを統合することにより、摂食を促し、体重を増加させることが知られている。マウスでこれらの視床下部ニューロンを破壊すると摂食行動が停止し、それに伴ってこれらニューロンの投射する領域のほとんどでFosの活性化が見られる。これまでの実験で、それに続く飢餓は傍小脳脚核(PBN)の異常な活性化によるものであり、適応の臨界期間内にPBNでのGABAA受容体シグナル伝達を促進することで防げることが示されている。PBN内のAgRPを発現するニューロン(AgRPニューロン)でGABAシグナル伝達が失われるとPBNの活性化が歯止めなく起こり、摂食を抑制するのだと推測される。しかしPBNへの興奮性入力がどこから来るかはわかっていなかった。今回我々は、孤束核(NTS)のグルタミン酸作動性ニューロンと、尾側セロトニン作動性ニューロンが、PBNニューロンの興奮性を制御して摂食を抑制することを明らかにする。NTSにおけるセロトニン(5-HT3)受容体シグナル伝達を、オンダンセトロンの長期投与、あるいはNTSに投射する尾側セロトニン作動性ニューロンのTph2の遺伝学的不活性化によって遮断すると、AgRPニューロンを破壊しても飢餓が起こらなくなる。同様に、NTSからPBNのN–メチル–D–アスパラギン酸型グルタミン酸受容体へのグルタミン酸作動性シグナル伝達を遺伝学的に不活性化しても、飢餓が防げる。また、PBNのグルタミン作動性出力を抑制すると、AgRPニューロンの破壊後に正常な食欲が回復するが、AgRPニューロンの破壊がなければ体重増加が促進される。つまり、PBNは脳のいくつかの領域からのシグナルを統合して摂食と体重を双方向性に調節するハブとして働いていることが確認される。

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